結末は,これでいい!
「結末でがっかりした」「差別のばらまきやないやろか」などとあまり評判がよろしくないレビューがあったので,迷いながらも購入して読んでみました。けれど,よくぞここまで自分と向き合った物語を書いてくれたものだと感心している。私は,結末はあれでいいと思う。自分を生んでくれた親と愛する夫との選択を迫られる状況に遭遇したとき,今日子とハジメが出したのと同じ結論にたどり着いた恋人達や夫婦のなんと多いことよ。それを差別に敗れた姿だと糾弾することは簡単である。しかし,あの結末こそ現代日本の哀れな一面を包み隠さず著してくれていると思う。例え作者自身の現実の生活と違っていても,社会の矛盾をきちんと描き,きちんと告発してくれていることが大切である。ハジメが,今日子に別れを伝える言葉をどのような思いで絞り出したか,私には痛いほど分かる。これは,読者に自分自身の差別意識と向き合うきっかけを与えてくれる良書としてお薦めしたい。
何で俺を生んだんや
なんの予備知識もなくこの本を購入した。面白い。びっくりした。「何で俺を生んだんや」という台詞を読めただけでも十分価値があると思う。ただ最後はハッピーエンドにしてほしかったなあ。
ハッピーエンドをなぜ求めるのでしょうか。
結末に関して否定的な意見が多く、購入を迷いました。しかし、結局、購入して読んでみたところ、私はこの結末に大いに納得しました。現実に差別問題が残っているのに、小説の中でハッピーエンドにして一段落をつけてしまうようなことは、してはいけないことです。小説としては当然の結末だと思います。小説の技法に未熟な点があると感じるので1点減点しましたが、内容は迫力ある物だと思います。
太郎が恋をする頃までには…
栗原 美和子
ドクターシーラボ
2010年10月15日
歯がゆい
うーん・・・
先に「Out」「グロテスク」を読んでしまったせいか、アラのようなものが気になって・・・
まず表題作「ローズガーデン」はよかったです。ミロの自殺した夫、博夫の物語。ジャカルタの描写もさすがの表現力、と思わせました。この頃から、うまかったんだなって。でも、それだけ。最後まで補完的な印象。そのための作品なら、成功なのかな?
その後の短編3話は、それぞれちょっとずついただけない。新宿、歌舞伎町という街の探偵事務所だからといって「風俗、ゲイ、レズ、SM」に即つなげるのは安易すぎる。他に切り口はないのかな?隣人であるゲイのトモさんはいいキャラだと思いますが、トモさんと絡んだミロに魅力を感じない。(別作品で)トモさんと「友人」になった経緯がありますが、それも「一晩飲み交わして良き友人、同志になった」とは安直すぎる。で、実際に本当に男女の垣根を越えた友人かというとそうでもなく、トモさんの周りに現れるゲイの男性に対して(女の嫉妬という形で)苛立ちを露わにしたりするミロに幻滅させられます。ゲイの男性が嫌う「面倒くさい女」そのもののミロとトモさんの友情がどうして継続しているのか、理解に苦しむ描写です。
探偵としてのミロの能力もみていて歯がゆい。「依頼の余韻を楽しむため」にのんびり構えていた結果、探偵として取り返しのつかないミスを犯します。プロ意識が感じられない。
つまり、「ハードボイルドでシャープな女探偵ミロ」と「等身大の悩める駆け出し女探偵ミロ」とが、ごっちゃになってて読後感が悪いんです。テンポよく、片手間に読むなら問題ありませんが、桐野夏生という作家への期待が大きかっただけに、がっかりしたので★ふたつ。
「天使に?」と「ダーク」との間に読む本かな
ミロと父と夫との確執についての1編目。「ダーク」を読む前に読んだほうが良いとおもう。
あとは、ミロとオカマのトモさんが出てくる探偵もの。オカマのトモさんが登場する「天使に見捨てられた夜」の後に読んだほうが良いとおもう。
ミロのダークサイドストーリー
1993年著者の江戸川乱歩賞受賞作『顔に降りかかる雨』の主人公、村野ミロシリーズの短編集です。シリーズものは作者と読者の暗黙の了解を基に話が進んでいくので、本書を予備知識なしに読み進めていくと、登場人物や人間関係が不案内になる部分は避けられません。
表題の『ローズガーデン』は書き下ろしでミロシリーズの番外編です。本シリーズは主人公村野ミロの一人称で語られるのですが、『ローズガーデン』はミロのかつての夫、博夫の視点で物語が展開していきます。常にミロの主観で描かれている他編とは違い博夫の主観でミロが描かれています。そのため博夫に見えていたミロは、ミロが語る自画像とズレが生じています。
私はミロシリーズを執筆順に読んでいるため、その後に描かれるミロ像は分からないのですが、本書の他の短編やそれまでの二つの長編では、ミロのポジティブなキャラがストーリーや登場人物の闇の部分を浄化する効果を出していますが、本編では博夫の視点でミロの闇の部分が描かれています。作中のミロはどこまでが現実でどこまでが幻想なのか、そして博夫自身の闇が本編のテーマのひとつになっているように感じました。
ローズガーデン (講談社文庫)
桐野 夏生
ボレロ
先に「Out」「グロテスク」を読んでしまったせいか、アラのようなものが気になって・・・
まず表題作「ローズガーデン」はよかったです。ミロの自殺した夫、博夫の物語。ジャカルタの描写もさすがの表現力、と思わせました。この頃から、うまかったんだなって。でも、それだけ。最後まで補完的な印象。そのための作品なら、成功なのかな?
その後の短編3話は、それぞれちょっとずついただけない。新宿、歌舞伎町という街の探偵事務所だからといって「風俗、ゲイ、レズ、SM」に即つなげるのは安易すぎる。他に切り口はないのかな?隣人であるゲイのトモさんはいいキャラだと思いますが、トモさんと絡んだミロに魅力を感じない。(別作品で)トモさんと「友人」になった経緯がありますが、それも「一晩飲み交わして良き友人、同志になった」とは安直すぎる。で、実際に本当に男女の垣根を越えた友人かというとそうでもなく、トモさんの周りに現れるゲイの男性に対して(女の嫉妬という形で)苛立ちを露わにしたりするミロに幻滅させられます。ゲイの男性が嫌う「面倒くさい女」そのもののミロとトモさんの友情がどうして継続しているのか、理解に苦しむ描写です。
探偵としてのミロの能力もみていて歯がゆい。「依頼の余韻を楽しむため」にのんびり構えていた結果、探偵として取り返しのつかないミスを犯します。プロ意識が感じられない。
つまり、「ハードボイルドでシャープな女探偵ミロ」と「等身大の悩める駆け出し女探偵ミロ」とが、ごっちゃになってて読後感が悪いんです。テンポよく、片手間に読むなら問題ありませんが、桐野夏生という作家への期待が大きかっただけに、がっかりしたので★ふたつ。
「天使に?」と「ダーク」との間に読む本かな
ミロと父と夫との確執についての1編目。「ダーク」を読む前に読んだほうが良いとおもう。
あとは、ミロとオカマのトモさんが出てくる探偵もの。オカマのトモさんが登場する「天使に見捨てられた夜」の後に読んだほうが良いとおもう。
ミロのダークサイドストーリー
1993年著者の江戸川乱歩賞受賞作『顔に降りかかる雨』の主人公、村野ミロシリーズの短編集です。シリーズものは作者と読者の暗黙の了解を基に話が進んでいくので、本書を予備知識なしに読み進めていくと、登場人物や人間関係が不案内になる部分は避けられません。
表題の『ローズガーデン』は書き下ろしでミロシリーズの番外編です。本シリーズは主人公村野ミロの一人称で語られるのですが、『ローズガーデン』はミロのかつての夫、博夫の視点で物語が展開していきます。常にミロの主観で描かれている他編とは違い博夫の主観でミロが描かれています。そのため博夫に見えていたミロは、ミロが語る自画像とズレが生じています。
私はミロシリーズを執筆順に読んでいるため、その後に描かれるミロ像は分からないのですが、本書の他の短編やそれまでの二つの長編では、ミロのポジティブなキャラがストーリーや登場人物の闇の部分を浄化する効果を出していますが、本編では博夫の視点でミロの闇の部分が描かれています。作中のミロはどこまでが現実でどこまでが幻想なのか、そして博夫自身の闇が本編のテーマのひとつになっているように感じました。
ローズガーデン (講談社文庫)
桐野 夏生
ボレロ
ニックネーム りょう at 14:02
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